エクスプロイト

エクスプロイト / Exploit

作成日: 2026-01-14 | 最終更新: 2026-01-14

概要

エクスプロイト(Exploit)とは、ソフトウェアやシステムの脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を悪用するための攻撃コードやプログラムのことです。 英語の「exploit」は「悪用する・搾取する」という意味を持ちます。

エクスプロイトは、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、バッファオーバーフローなど、様々な攻撃手法の総称としても使われます。 これらの攻撃手法は、それぞれ異なる脆弱性を悪用しますが、すべて「エクスプロイト」という言葉で表現されます。

エクスプロイトの語源

「Exploit」という英単語には、もともと「利用する・活用する」という中立的な意味がありましたが、セキュリティの文脈では「脆弱性を悪用する」というネガティブな意味で使われます。

攻撃者が脆弱性という「弱点」を見つけ出し、それを「搾取(exploit)」してシステムに侵入する、というイメージです。

体験してみよう:エクスプロイトの流れ

語源で説明した「脆弱性を悪用する」という流れを、実際に体験してみましょう。 エクスプロイトがどのように脆弱性を見つけ、悪用し、攻撃するのかを理解できます。

エクスプロイトの流れを体験しよう

脆弱性を発見
SQLインジェクション
システム
まだ無防備

この体験で分かること

  • 脆弱性発見からエクスプロイト作成までの流れ
  • エクスプロイトがシステムに与える影響
  • 語源で説明した「悪用する」という意味が、実際の攻撃の流れとどうつながるか

実際のエクスプロイト事例

エクスプロイトは歴史上、数多くのサイバー攻撃で使われてきました。過去の事例を知ることで、その危険性が理解できます。

1. EternalBlue(エターナルブルー)- 2017年

WindowsのSMBプロトコルの脆弱性を悪用するエクスプロイトで、WannaCryランサムウェア攻撃に使われました。 NSA(米国国家安全保障局)が開発したとされるこのエクスプロイトが流出し、世界中で被害が発生しました。 病院、企業、政府機関など、30万台以上のコンピューターが感染しました。

2. Shellshock(シェルショック)- 2014年

LinuxやMacで使われるBash(シェル)の脆弱性を悪用するエクスプロイトです。 25年以上も存在していた脆弱性で、発見時には世界中のサーバーが危険に晒されました。 リモートでコマンドを実行できるため、Webサーバーの乗っ取りに悪用されました。

3. SQL Injection(SQLインジェクション)- 継続中

データベースの脆弱性を悪用して、不正なSQLコマンドを実行するエクスプロイトです。 ログイン画面やフォームの入力欄から攻撃コードを送り込み、データベースの情報を盗み出します。 古典的な攻撃手法ですが、今でも多くのWebサイトが被害を受けています。

4. Heartbleed(ハートブリード)- 2014年

OpenSSL(暗号化ライブラリ)の脆弱性を悪用するエクスプロイトで、サーバーのメモリから機密情報を盗み出せました。 パスワード、クレジットカード情報、秘密鍵などが漏洩する可能性があり、インターネット全体に大きな影響を与えました。 発見時には世界の半数以上のWebサイトが影響を受けたとされています。

5. Log4Shell エクスプロイト - 2021年

JavaのLog4jライブラリの脆弱性を悪用するエクスプロイトで、発見から数時間で攻撃が始まりました。 リモートでコードを実行できる非常に危険なエクスプロイトで、Apple、Tesla、Amazonなど大手企業も影響を受けました。 PoC(実証コード)が公開されると、瞬く間に実際のエクスプロイトに改造されて拡散しました。

エクスプロイトの種類

  • リモートエクスプロイト:ネットワーク越しに遠隔から攻撃できるタイプ(危険度:高)
  • ローカルエクスプロイト:対象のシステムに直接アクセスする必要があるタイプ(危険度:中)
  • ゼロデイエクスプロイト:まだパッチが存在しない脆弱性を狙うタイプ(危険度:最高)
  • ワンデイエクスプロイト:パッチ公開後も未適用システムを狙うタイプ(危険度:高)

PoCとエクスプロイトの違い

セキュリティニュースで「PoCコードが公開された」という表現を見ることがありますが、PoCとエクスプロイトは異なります:

  • PoC(Proof of Concept):脆弱性の存在を証明するための実証コード。実害を与えない範囲で作られる。
  • エクスプロイト(Exploit):実際にシステムを攻撃・侵入するために作られた悪意ある攻撃コード。

問題は、公開されたPoCコードが悪意ある第三者によって「武器化」され、実際のエクスプロイトに改造されることです。

エクスプロイトとゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃では、まだパッチが存在しない脆弱性を狙うエクスプロイト(攻撃コード)が使われます。

関係性を整理すると:

  • 脆弱性:システムの弱点(セキュリティ上の欠陥)
  • エクスプロイト:脆弱性を悪用する攻撃コード(武器)
  • ゼロデイ攻撃:パッチが存在しない状態での攻撃(タイミング)

エクスプロイトへの対策

  • ソフトウェアの定期的な更新:セキュリティパッチを速やかに適用
  • セキュリティソフトの導入:既知のエクスプロイトを検知・ブロック
  • ファイアウォールの設置:リモートエクスプロイトの攻撃経路を遮断
  • 最小権限の原則:万が一侵入されても被害を最小限に

よくある質問(FAQ)

関連用語

用語説明
ゼロデイ攻撃パッチが存在しない状態での攻撃。エクスプロイトが使われる
CVE脆弱性識別番号。エクスプロイトが悪用する脆弱性に割り当てられる
ホワイトハッカー善意のハッカー。エクスプロイトを防御のために研究する